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論文が査読誌への公刊が決まるごとに、日本語で紹介文を書きます。
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Journal of Economicsという雑誌に公刊されることになった論文を紹介します。

"Privatization and entries of foreign enterprises in a differentiated industry" Toshihiro Matsumura, Noriaki Matsushima, Ikuo Ishibashi, forthcoming in Journal of Economics.

近年のグローバル化を踏まえ、外国資本が国内市場へ参入した場合の公企業の存在意義について、製品差別化の要素を取り込んで理論的に考察した論文です。ある国内市場に、公企業と国内民間企業と外国民間企業が存在し、各企業が差別化された製品を供給しています。この国の消費者は、価格が安く製品の品種が多いほど嬉しさが増す状況にあります。ここで、以下の2つについて考察しています。1つは、企業数が固定されている場合(短期)、もう1つは、民間企業が内外問わず自由に参入できる場合(長期)です。これら2つを比較し、各状況下での民営化の是非を議論しています。

外国資本が参入した場合の公企業の存在意義について理論的に分析した結果、民間企業が市場へ自由に参入できるか否かで結果が大きく異なることが示されました。参入が無い場合(短期の場合)、民営化で自国の厚生は悪化することが示されました。外国資本の比率が高いときほど、この傾向があることも示されました。一方、自由参入の場合(長期の場合)、短期の結果とは正反対で、外国資本の割合が高いほど民営化が厚生改善につながりやすいことを示しました。

この結果が出てくる理由は以下の通りです。公企業は消費者余剰を考慮するため、低価格にする傾向があります。この価格付けを参入企業は予想しますので、参入が見込まれる場合には、この低価格が民間の参入を抑制し、市場における財の多様性が損なわれます。参入が無ければ、公企業による低価格は消費者利益になり社会厚生を向上させることとは対照的です。この低価格は、外国企業の割合が高い程強く働きます。外国への余剰流出を防ぐために、公企業は低価格により競争を激しくして、外国企業の利益を減らそうとします。

この結果は、社会主義からの移行経済にある場合、公企業の民営化を行い外国資本の導入を積極的に行う方がよいことを示唆していると思います。また、民営化を行う際には、それを単独で行うのではなく、参入制限も緩和(廃止)することを同時に行わないと逆効果になりうることも示唆しています。
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